私が現在開講しているピアノ教室は、 ショパンピアニズムを用いたレッスンを行っております。
日本ではあまり馴染みのない奏法ではありますが、世界の聴衆を魅了してやまないピアニストの多くはこの奏法を軸に演奏しています。
私が大好きなソフロニツキー、ホロヴィッツ、ゲンリヒ・ネイガウス、スタニスラフ・ネイガウスは日々私に大きな課題を与えてくれています。
私自身、小さな頃から彼らの演奏に魅了されこんな音が出したい、こんな風に演奏したいと思っておりました。
こんな演奏がしたいと言ったところで、あの人とあなたは違うんだからと、根も葉もない言葉を言われたことは数がしれません。
しかしドイツでソコロフの演奏に触れたことで大きく変わりました。
録音や映像でしか聴いたことがなかった音楽が実在したのです。
それも第一音目から・・・
ピアノが歌い、何の抵抗もなく心に染み込んでくる音楽。
音楽をするための「響き」が音に無かったら、どう足掻こうが目指す音楽は実現しない。
彼のコンサート以降、考え方が間違っていることに気がつきました。
それとは一方にこのように音楽家を例えることがあります。
音楽家は皆違うルートから山の頂を目指して登っている
以前は特に違和感など感じておりませんでしたが、今ではこの言葉は方法論的には間違っていると確信しています。
自分の信じる道を盲目的に進むのは構いませんが、例えばホロヴィッツの音楽を愛していたとして、その音楽を強く想像すれば近づくことができるなど到底ありえないのです。根本的な楽器の扱い方、体の扱い方が間違っていれば何年たっても同じ次元で音楽を捉えることは不可能です。
黒木ピアノ教室では、まずはピアノが最大限響き渡る音を体現してもらうことから始めます。
ピアノの構造、動きと脳の関係、リラックスするための方法論等を本人が体現し理解するまで説明いたします。
この奏法で演奏できるようになりますと、各々が持っている性格が音楽に反映されるようになってきます。
十人十色と言いますが、音楽もまさにそのような自由さを持ってきます。
自由に弾いて!という言葉がありますが、基礎が固まっていない状態では自由さは生まれません。
硬くなってしまう音楽を自由にしてほしくてこのような言葉がレッスンで飛び交うのでしょうが、それは根本的に音そのものが硬いのが原因なのです。
動きと音楽は、切っても切り離せません。
日本では音楽的な基礎は学べますが、この「動きの基礎」「音の響きの基礎」を学べる教室はどれだけ日本にあるのでしょうか。
基礎的な音の響きが一回でも理解できれば、テクニックは飛躍的に向上し、音楽に練習時間を割くことができます。
練習時間はとても楽しく喜び溢れるものになります。
私は20代でようやく理解した内容ですが、感性豊かな小学生の頃から身につけられますとピアノが一層楽しいものになると思います。