ピアノは楽器であるので、鳴らすには運動が伴う。
時には音楽と運動のイメージを一致させると、とても大きく役に立つ。
フレーズを作る上でとても多い間違えが、前回述べた「フレーズを収める」という発想である。
運動もそうである。例えば100メートル走である。
スタートとゴールがあり、そこを走っていくわけだが、皆さんはゴールの時にはどのように走っているだろうか。
全速力で走ってきて、ゴール地点に来た瞬間にピタッと立ち止まる人はいるだろうか?
もしも立ち止まったなら、その瞬間には体にとても大きな負担がかかる。
ピアノも同じである、音楽的なゴールはあるが、そこに向かって止めてはダメなのである。
常に走る抜ける意識がなければその音は途端に硬くなる。
そしてフレージングである。言ってみればフレージングとはリレーである。
バトンを次のフレーズに渡すわけだが、次のフレーズにバトンを渡した方は渡した後もすぐ立ち止まるのではなく、走り抜けているはずだ。
それが本来のフレーズのつなぎ方である。収めてはダメなのだ。
ショパンの音楽は、常にクレッシェンドとデクレッシェンドの間を行き来していた。
そのような音楽をするには、ゴールも設けて立ち止まると言う発想を持ってはいけない。
音楽とは、常に浮遊しており、次々につないでいくのだ。そのためには、一音たりとも、立ち止まる音を出してはいけない、常に出した音の後まで走り抜けるのだ。
黒木ピアノ教室 YOU TUBEチャンネルより フレーズを収めない フレーズの作り方