作曲家の弾き分け

ショパンの歌声は柔らかく、音に空気が多く含まれている。
ドビュッシーはショパンよりもさらに柔らかく、音に含まれる空気の量も多い。
リスト、ラフマニノフは歌声に張りがあり、直線的である。
モーツァルトは空気の量は多くないが、他の作曲家よりもはるか高い位置で歌声が聞こえる。
バッハにおいては、あらゆる楽器、あらゆる大きさのホールのために書かれており、その声色は無限に近いと感じる。

ピアニストは作曲者によって曲を弾き分けないといけない。
それはキャラクターを弾き分ける以前に、音質自体が違うことを知らなければならない。
その音質が出せてこそ初めて作曲者が望んだ歌が生まれてくる。
曲を理解するとは、声色を探すことと同義なのだ。

全ての曲で違う歌手が歌っていると思えば分かりやすい。
歌手が違うということは、声の質から歌い方まで違うのだ。

そして歌い方の違いというのは、声の質から生まれていることを理解しなくてはいけない。

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