前回、ショパンピアニズムの基礎④「打楽器ピアノ」の続き
ピアノの打楽器としての特性を理解し打鍵の際の指の意識を確認できたなら、いよいよ手首の使い方に入っていく。
ショパンの時代から現代まで、多くの名ピアニストは手首についてこのように語っている。
「手首はピアノを弾く際のエンジンだ」
この感覚を理解した時、驚くほどの自由を獲得することができる。
自由の獲得とは「弾く意識」をほとんど持たないで演奏できるということである。
つまりは演奏行為に意識を捉われず、冷静に音楽を聴き、音楽を考え、その音楽に心を燃やすことができるということである。
手首の使い方は前回の記事で述べた通り、指がバチであるという考え方をしたら答えが見えてくる。
実際にバチを手に持って叩いてみると良いかと思う。
バチで打つ前に腕全部を上に持ち上げ、腕を下ろす動作と一緒に手首を柔らかく使う。
打楽器として扱うと、腕全体と手首、2つの動作を連動させることが体感として分かると思う。
これはピアノでも同じである。
ピアノでは指がバチであり、腕と手首は同じ動きを使うのである。
よくある演奏法では「弾いた後に手首で力を逃す」使い方があると思う。
日本でよく目にする奏法である。
ここに落とし穴がある。
腕の重さを鍵盤に柔らかく届けるには、この手首の使い方ではできないのだ。
手首は、「弾く前」と「弾いた後」どちらとも使うのだ。
弾く前の手首の動きは、人を呼ぶときの「手招き」する動きを使う。
「腕全体の動き」と「手招き」の動作を連動させ、腕の重さを鍵盤に届け後は、手首を「斜め前」に持ち上げる。
この「弾く前」と「弾いた後」の動作をセットとして考え徹底して磨いていくと、手首がエンジンという言葉の意味を体感できるだろう。
詳しくはYouTube上で説明していますので、コチラからご覧ください。
腕全体と手首の動きがわかったなら、基礎的な手のポジションを知らなくてはいけない。
また次回