重さの使い分け

ショパンピアニズムにおいて重さを使うということは基本的な概念であるが、大まかに分けると3つの重さを使うことができる。

1つ目が「指の重さ」
2つ目が「手首からの重さ」
3つ目が「腕全体の重さ」

である。よく体の重さを使うといった流派があるが、それは科学的に考えれば無理なことがわかる。
感覚的にはそのような意識になることはあるが、現象としては腕の重さのみを使って演奏している。
本当に体の重さを使って弾きたいのなら、上半身全体を打鍵の際に上下前後に動かし肩を固めて打鍵しないといけない。
椅子から体を浮かして弾いてたとしても体の重さは打鍵に利用できていないことを理解しているとピアノへの理解が一層深まる。
腕の重さだけでピアノは十分に鳴りきる。

1つ目の「指の重さを使う打鍵」では、虫様筋を使う。
気をつけるべきことは、第1、第2関節に頼らないことだ。
第3関節から虫様筋を使って打鍵するのだが、この際、「1指〜5指」どの指を使うにしろ短母指屈筋と母指内転筋だけは常に意識する。
しかし、その他、弾く指以外の筋肉は一切使わないことが大切である。

2つ目の「手首からの重さを使う打鍵」では、虫様筋と共に尺側手根屈筋を使う。
手首からの打鍵では、1つ目の「指の重さのみの打鍵」と異なり、虫様筋の役割が手首の重さを支える方向になる。
その代わりエネルギーの源が尺側手根屈筋を使った手招きする動きになる。

3つ目の「腕全体の重さを使う打鍵」では、上腕二頭筋、三角筋、大胸筋を使って腕を動かすのだが、意識としては手首の下から腕全部を持ち上げるつもりで操作しなくてはいけない。
手首の下からというのはとても大切な意識で、この感覚は数多あるピアニズム流派のほぼ全てで徹底して教えられていることである。
この際、虫様筋と尺側手根屈筋は2つ目の打鍵と似たような使い方をする。

重さを使うということは、打鍵スピードが遅くても大きい音が得られるということであり、この3つの使い分けで様々に音色を変えることが可能となる。

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