「弾く感覚」と「聴く感覚」は相入れない仲であり、どちらかが強くなればどちらかは弱くなる。
この感覚というのは、誰でも切り替えることができる。それもとても簡単に。
指というのは、第1関節、第2関節、第3関節があり、一般的な奏法の人は、これら3つの関節を各々のバランスで使っている。
ショパンピアニズムではどうかいうと、99パーセント以上第3関節からしか使わない。
ここに「弾く感覚」と「聴く感覚」の分かれ道がある。
多くの人は気がついていないだろうが、第1、2関節から指を使った時点で耳は閉じてしまい、「弾く感覚」に脳みそが変わってしまうのだ。
人間は根元から運動をしている時、自然な円運動を伴いリラックスして体を動かせる。末端を動かすというのは本来は無理があるのだ。
指の根元は第3関節であり、この関節を支点にして虫様筋を使って打鍵する。
こうすると驚くほどに「弾く感覚」は薄まり、「聴く感覚」に脳みそが変わるのを意識できる。
音を聴くということは体の使い方を見直せば誰でも手に入るテクニックである。