私は現在、埼玉県戸田市でピアノ教室を開いています。日々ピアニズムの研究を続けながら生徒に伝わりやすい方法を模索しています。
レッスンを行う中で言葉というのはなかなか難しく間違った伝わり方をしてしまうなと感じております。
以前、体を前後に動かしすぎる生徒がおり、なんとか楽に弾いてもらおうとアドヴァイスしたことがありました。
「体が動きすぎてて、それだと自分の音を聴けないよ。あまり動きすぎないで」
すると体を動かすまいとカチカチに固まってしまい逆に力んでしまいました。
次に実験をしてもらいました。
一音を鳴らしてもらい、それをペダルで保留。
音を持続したまま目を閉じ体を前後に動かして聴こえ方の違いを感じてもらいました。
「前に行くと音が大きくなり、後ろに行くと小さくなる」
生徒が言いました。
そうなんです!
体を動かさない方が良い理由は、耳の位置が変わって音を聴けなくなるからなんです。体を後ろに引いたり前に倒したりしても実は、
『音を聴いているつもり』
になっているのです。
そこで、
「耳の位置を変えると音が変わっちゃうでしょ?体は意識しなくていいから音をよく聴くために耳の位置を変えないように気をつけてみて」
このように助言してみると、体の硬さはとれ音も立体的になりました。
自分自身でもそういった経験はよくあり、
「脱力」と思うより「リラックス」と思った方がうまくいきます。
「テンポを守って」より「曲の呼吸を邪魔しないで」と思った方が自然な流れになります。
「音を大きくして」より「響きを厚くして」の方が色彩豊かになります。
「よく聴いて」より「耳を天井に置いてきて」の方が立体感が出ます。
言葉の力は大きいです。
そういったところも日々研究していかなくてはいけませんね。
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