人生で初めて聴いた音でした。
柔らかくて丸い音
ホールを隅々まで埋め尽くし、目に見えそうなくらい立体的な響きが耳の奥までスーッと入ってくる。
ソコロフの奏でる音は衝撃でした。
訳がわからずコンサートが終わり、深い感動とともに悔しくなりました。
音も弾き方も自分とは明らかに違う。
まずは形から入ろうとソコロフの弾き方を真似してみました。
彼の音は大きく振りかぶって弾いているのに全く角がなく柔らかい音。
自分がそのように弾いて出る音といえば、鍵盤にハンマーを叩きつけたような暴力的な音。自分の音ながら耳が壊れそうでした。何かが違う。
そんな時出会いがありました。
『弟子から見たショパン』
人生でこの本に出会っていなかったら、どれだけ損をしたのでしょうか。