音楽は下から作る
日本でも海外でもレッスンでよく言われることです。
バスの配置により同じ和声であっても響きの雰囲気はガラりと変わります。
電子ピアノであっても雰囲気の変化を感じ取ることはできますが、これはあくまで音楽上での変化であり芸術上の変化ではありません。
バスが持つ芸術的な意味を体現するには、ピアノの扱い方を身に付けないといけません。
ピアノの扱い方を身に付けると言うことは「ピアノを響かせられるようになる」ということですが、ピアノを響かせるには響きを受け入れる器がいるのです。
絵画を飾るのに額縁がいるように、響きを作るにも器がいるのです。
この器とは、バスの響きです。
私が教えている生徒の多くは、音が大きくなると鍵盤の底まで押し付けて弾き、音が小さくなると鍵盤の浅いところを弾きます。
このような生徒には、バスの音だけを私が弾いてあげます。
なるべく柔らかく広く深く、、
そうすると音は空中で歌い出します。
次に、バスを強く固く浅く弾きます。
すると、音はすぐ下に落ち空中に漂いません。
何がちがうのか、
やはり音楽を作る器です。
響きを作る広い空間が用意してあると、音は空中に羽ばたけます。
このバスの感覚は、一度自分の身でもって体感しないと理解が難しいものだと思います。
そしてこの響きの深さ広さを体現できると、不思議なことに単音でさえも広い器の中で響きを作ることができてくるようになります。