耳にかかった鍵

ピアノを習っていく段階で、多くの人は耳にいくつも鍵をかけていく。
まずは指を上げ下げして独立させることで、鍵をかける。
そして腕を使い、体を使い、どんどん鍵をかけていく。

基本的に私の教室を訪れてきてくださる方は、最初の段階ではいくつもの鍵が耳にかかっている。
レッスンではそれを一つ一つ開錠していく。
その耳にかかった鍵がどこからきているものなのかを、教師は瞬時に見つけなくてはいけない。
自分で身をもって研究し、体と楽器の扱い方を理解してくると、音を聴いただけで大体は原因がどこかわかってくる。

一つ開けるごとに世界は広がり、音に色が増えていく。
世界が広がり目が輝きだす姿を見ることは、私にとってもこの上ない喜びである。

音楽はずっとそこに存在していたのに、自分から耳を閉じていたことに気が付いてくる。
自分の理想に近づけるために耳を閉じて、空想の中で演じているのだ。

ピアニズから人生の考え方まで色々学べている。
人を気にせず、ありのままの自分を受け入れるという姿勢はとても大切だと感じる。

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