声楽とピアノ

前回ピアニズムの継承の続き

日本の声楽界に関してはヨーロッパのような教育システムがある。
それは一人一人の声が違うため、体の使い方や響きの作り方に多様性を認めているからだ。声楽での徹底した響きのレッスンは私たちピアニストも参考にしなければならない。

ソプラノ歌手に、ミレッラ・フレーニとエリーザベト・シュヴァルツコプフという方がいる。
最近、彼らのマスタークラスの動画を見ていて私が理想とするレッスンにとても近いと感じた。そのレッスンでは常に響きと体の使い方を指摘し、教師が理想とする響きの概念を生徒が理解したと感じると次に進んでいくのだ。

こちらからご覧になってください。

ミレッラ・フレーニによるマスタークラス

エリーザベト・シュヴァルツコプフによるマスタークラス

オペラとドイツリートで得意とする分野が違う二人だからこそ、理想とする響きの違いが見て取れる。
ピアノでも同じだ。響きを伝承・継承することがレッスンでの醍醐味なのだ。

響きには何百年という歴史の重みがある。デジタルの音では辿り着けない振動がある。
響きを継承することこそ、クラシック音楽家の大切な役割だ。

教師というのは、響きを繋いでいく仕事である。
その一端を担えることに幸せを感じる。

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