ショパンピアニズムの基礎 ⑦「親指の使い方」

前回、ショパンピアニズムの基礎⑥「基本の手のポジション」の続き

5本の指の中で最も大切な親指の使い方に入っていく。
以前「企業秘密」で書いたように手が本来持っている働きとは「掴む」動作である。
ピアノを学習していく上で、この「掴む」という意識は常に頭の片隅に置いてほしい。
掴むといっても指で掴むのではなく、手のひらで掴むということだけは注意していただきたい。

以上のことを考えると親指の正しい動かし方が自然と分かってくる。

画像のように親指を上にあげて、その勢いを利用して弾いている方は多いのではないだろうか。しかし親指の生え方に注目すると、この演奏法が解剖学的にとても無理がかかることに気がつく。
2−5の指が演奏時に使う動きを親指に置き換えると分かる。
親指を上にあげて弾く方法は、2−5の指では縦ではなくて横に動かす動きと一緒なのだ。

 

手が本来持っている役割である「掴む」動作を基準に考えると、親指は上にあげて使うのではなく、「掴む」で使う動き、つまり親指を小指の方向に動かしていくのが正しい使いである。
これはショパンの基本ポジションを実践できていないとピアノ演奏で使うことは不可能な動きである。

基本ポジション=「小指が鍵盤に付いている時に親指が鍵盤から離れている状態」=「手全体が小指側に少し傾いている状態」ができていて初めて可能になるのだ。
前回の記事、基本の手のポジションとそれに関連したYouTube動画を2つ合わせて見ていただけたら分かるかと思う。

そして親指は、手首の回転運動を伴って使うのがショパンピアニズムの基本動作であり、手首の回転を伴うことでのみ腕の重さをピアノに与えることができるのだ。
そして弾いた後は、親指を上げて離鍵するのではなく、手首の回転で離鍵する。別の言い方をすれば弾いた後に手のひらを開ける感覚で離鍵するのだ。

この「上げる」ではなく「開ける」感覚がとても大切である。
親指は基本的にほとんど動かさないで手首の回転の動きを使って演奏する。
親指の基礎的な使い方が分かったなら、次は親指と反対側にある小指の使い方である。

また次回

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