小さい頃は黒い鍵盤は使わずに白い鍵盤だけ使い初歩を学んだと思う。
しかしこの白い鍵盤=白鍵には、ピアノが上達すればするほど魔物が住みだす。
私の教室では、体と楽器の扱い方を学んでもらうために私が考案した黒鍵を使った練習を1−2ヶ月ほど必ずしてもらう。
その理由としては、一番美しい音が鳴るからだ。
ショパンやドヴュッシー、スクリャービンの曲に黒鍵が多いのは、ピアノが美しく鳴ることを分かっていたからだ。
ではなぜ美しく鳴るのか。それは弾く側の意識にある。
1オクターブは12音に分けられるが、白鍵が7音、黒鍵が5音だ。
見たら分かるが、白鍵は隣がずっと白鍵である。
一方、黒鍵は隣に黒鍵がなく白鍵を挟んで黒鍵がくる。
ここが重要なのだ。
黒鍵を弾く時は、隣の音を気にしなくていいので何の怖さもなく打鍵できる。
しかし白鍵は違う。
知らず知らずのうちに「隣の音を弾かないようにする」恐怖心が生まれているのだ。
ほとんどの人は、白鍵では肘が硬くなり耳が鍵盤に近い位置に落ちてしまう。
試しにオクターブを白鍵と黒鍵で弾いてみるといい。いかに白鍵の時に体が固まっているか体感できるだろう。
私は、この恐怖心を無くしてもらう為に皆さんに必ず次の練習をしてもらっている。
まず弾く白鍵の両隣の音をあらかじめ下に押さえておき、黒鍵のような状態を作ってもらう。
(レの音を練習する時は、レの両隣のドとミをあらかじめ下に押さえておくということである。)
両隣が下に落ちている状態だと隣の音を弾く恐怖心は全くないので、そこで正しい白鍵の弾き方を練習してもらうようにしている。
白鍵の扱い方には気をつけなくてはいけない。
一番難しい調性はハ長調なのだ。