ショパンピアニズムの構え

腕が一番自然な状態

腕が自然な状態とは、椅子に座り膝の上に置いた手を右にも左にも傾けずそのまま鍵盤に乗せた状態です。

よく目にする間違った奏法に、

・肘を外に出す
・5本の指を同じ長さに整えるために指を曲げる
・鍵盤と指を直線上に配置する

といったものがあります。

しかし自然のままに鍵盤に手を置くと次のようになります。

・小指が鍵盤についている時は親指が少し浮いている
・鍵盤に対して指が斜めに置かれる
・肘は外側に出ず、自然に配置されている

ショパンピアニズムではこのように配置します。これはショパンが考案した基本ポジション通りの配置になっており、ピアノを弾く際はこの状態を基本にします。

ショパンの教則本を読めば誰でもこの配置について知ることはできますので、日本において知られていないだけです。

このように構えると両手ともに小指に重さがかかります。この小指重心の弾き方にするだけでテクニックは大きく改善されます。
そして指が斜めに鍵盤に触れることで指はリラックスしたまま打鍵することが可能になります。

そしてこの配置により初めて手首は自由を獲得することができます。
肘を出してピアノを扱う奏法では手首の可動域は狭くなり、また打鍵も真下方向にしかできず、この真下方向の打鍵をするために打鍵後に指を真上にあげる動作が必要となってきます。この真上にあげる動作をする場合、指の独立が大きく関係してきます。
独立というのは腱の結合が大きく影響します。
もともと腱同士の結合が強い人はいくら練習しても上達しないわけです。

そしてこの奏法で演奏できたとしても、指を上にあげる動作により脳は動作に対して多く働き出し、その結果、耳は固く閉じ、音は総じて固くなり、良いことは何一つ起こりません。

構えを変えるだけで、打鍵は真下にはならず自由を獲得した手首の動きとともに、腕全体は鍵盤の上を自由自在に動くことが可能になるのです。

ロシアの大ピアニストであり大教師ゲンリヒ・ネイガウスも

「ショパンの生み出したこの配置は試金石だ」

と感嘆したのです。

小さい頃からずっと続けてきた弾き方ですから、間違った弾き方を自然だと脳が認識しても仕方がない部分もありますが、一度ショパンのピアニズムをご自身で体験されると弾きやすさの違いに驚き、今までやってきた指の練習がバカらしく感じると思います。

鍵盤は斜めから打鍵するのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。